7月20日(木)に東京大学 安田講堂で開催されました、日経ビジネス クリエーション塾の「課題先進国日本」講演を聴いてきました。
東京大学TIGSと日本経済新聞社の主催によるこのセミナーは、研究機関である大学が世間に出ようとしている昨今、東京大学の産学連携的な動向を知ること、最近は営業的なセミナーばかりを聴いていたので少し耳を元に戻るために大学教授の講演を聴くこと(大学教授の講演が無料だなんてウレシイ企画だ)、東大の安田講堂へ入ってみる事が、今回の主な目的。
◆ご挨拶 東京大学 総長 小宮山 宏 氏
課題のある国が解を出す、日本は課題<解決>先進国になるべきだと宣言した。
本質を捉える目、他者を感じる力、先頭に立つ勇気が必要なのだと。闊達な総長の姿勢に嬉しくなった。
◆安心・安全のための社会技術 東京大学 工学系研究科 社会基盤学専攻 教授 堀井 秀之 氏
安全と安心の要素の違いを示し、コンピュータを用いた災害範囲シミュレーションなどのシステムを紹介した。
◆脱温暖化社会と都市 東京大学 工学系研究科 都市工学専攻 教授/サステイナビリティ学連携研究機構 兼任教授 花木 啓祐 氏
脱温暖化社会としての今後は、
活力型:ドラえもんタイプの都市・個人を大切にする。
ゆとり型:サツキとメイの家タイプの分散型、コミュニティ重視。
が分かり易いモデルだそう。
少子化で人口減と言っても、明治頃の人口に戻る程度が予測されるそうだ。(それがどういった世界かは江戸時代以降を教えられていない世代には想像出来ないのが残念)
温暖化を抑制するようなライフスタイルの必要性を説いた。
◆サステイナブル ビルディングの実現への挑戦 東京大学 生産技術研究所 教授 加藤 信介 氏
日本におけるエネルギー消費量の1/3は、建築分野にあるという。明治大学の超高層校舎における換気窓制御などの低エネルギー消費の例を挙げ、サスティナブルな建築思想・技術の必要性を説いた。
CoolBizなどのエネルギー消費抑制が、全体主義的に陥って、強制なってはいけないと警鐘を鳴らし、「節電はするけど好きな車は燃費が悪い」というような選択が可能な、多様な評価軸に基づく意思決定が必要だと説き、さらに「愚行を許す社会」を提唱した。LOHASの王道を行くようなメッセージに感銘を受けた。
◆学術知識の共有・探索・統合 東京大学 総括プロジェクト機構 学術統合化プロジェクト研究部門 助教授 Steven Kraines 氏
研究者の専門知識を有効に共有したいという欲求は、知識を探している人の欲求と同程度なのだそう。探したい人あれば、探されたい人ありなのだ。
交通手段の発達していなかった昔、学術論文は文通のようなもので、それが進んで、学会で発表するなどへ進歩した。しかしそれはまだ、強く興味を持った人が運良く手にした論文を読むにとどまっている、「Message in a bottle」なのだそう。
インターネットが利用可能な現代は、検索が可能になった。だがキーワード検索には限界がある。セマンティック・マッチングの必要性を説いた。参考: www.EKOSS.org
(ブログが論文のディスカッションの場になっている点には触れなかったようだが、SNSによる人脈リンクを辿ってブログで発表・ディスカッションする姿が現状に即しているように思った)
◆超高齢社会におけるSuccessful Aging 東京大学 総括プロジェクト機構 ジェロントロジー寄付研究部門 教授 秋山 弘子 氏
エイジングなんてあるから、美肌?とか思っていたら、老年学とも呼ばれていたジェロントロジー。高齢化社会における、今後の日本を左右する問題だ。
(幼稚園のような老人向け教育機関の必要性があるのではないかと考えた、宗教観に依存する面もあるので難しいのだろうか)
◆感染症のリスク分析と管理 東京大学 医学系研究科 国際生物医科学講座 教授 牛島 廣治 氏
ウエスト(西)ナイル病やノロウイルスって、怖いな。
大学レベルの研究ネットワークがあるそうで、東大&中国、北大、大阪&タイ、長崎&インドと連携しているそうだ。
◆地球持続戦略研究イニシアティブ(TIGS)の取り組み 東京大学 サステイナビリティ学連携研究機構 教授/地球持続戦略研究イニシアティブ(TIGS)統括ディレクター 住 明正 氏
情報が増えれば豊かかと言えば、否。知の構造化、問題の構造化が必要で、それには知のネットワーク、アウトリーチ(Out Reach)が必要と説いた。
安田講堂は、装飾等とても素敵な建物だった。大学の施設にしては中がキレイ過ぎるなぁ。
集客としては、もっと満席にしても良かったのではないだろうか。事前登録者の80%来ればいい方だから、1.3倍は確保しても、雨が降ったり暑過ぎても減るのは必至だ。出席率を向上させるために開催前日の早朝にリマインダー・メールも必要だ。思ったより学生の姿が見えなかったので、学内での告知・勧誘をもっと行なっても良かったのではないだろうか。
それにしても、東大の懐の深さを垣間見た気がした。また機会があれば、参加したい。
いい音楽で、いい生活を。〔わをん〕